●芸術●
66〜80
美意識や知的好奇心をくすぐるものに出逢ったときほど、胸がワクワクすることはない。専門的なことはわからなくとも、形、色、風合い、機能など、人の感性と知恵が創り出したものに、改めて脱帽する。それが旅先ならなおのこと。これまで出会ったことのないものを目の当たりにすれば、一層、好奇心が高まる。佐渡には、独自に花開いた芸術がたくさんある。島という地理的な条件や気候風土が、独自の完成を育んだのか。あるいは、佐渡の文化は流人がもたらした貴族文化、奉行や役人が持ち込んだ武家文化、商人や船乗りが運んだ町人文化が、渾然一体となって独自の文化を育んできた。こうしたことが下地となっているのかもしれない。早くから才能を現し、日本を代表する日本画家として多くの作品を残した土田麦僊をはじめ、勝海舟によって命名されたといわれる無名異焼、蝋型鋳金や版画、暮らしから生まれた竹細工や裂き織り･･･。佐渡のそこかしこに点在する芸術作品が、きっと旅の満足度を高めてくれる。