エンレイソウ



花が咲くまで
15年
ユリ科
エンレイソウ属
花期 4〜5月

「かの山のかの木のもとのひとむらのえんれい草も愛さむひとつ」。
友人が年賀状にこの歌と花の版画を寄せてくれた。
咲きはじめは紫花がピンクを帯び、うつむいていてういういしい。
まさに“愛さむひとつ”である。
エンレイソウは延齢草の意味。
古名は延年草。
初々しい花が咲くまで“齢を延ぶる”こと15年余もりかかり、名まえもここから生まれた。
属名トリリウムは三基数のユリの意味。
雌しべの子房3室、花柱3、雄しべは外に3、内に3、
花びら状の紫の萼3、輪生葉3となっている。
『佐渡志』に「延年草 方言がせつな 山中渓間に生ず 形王孫(和名ツクバネソウ)に似て大なり」と記される。
現在は輪生する食べられる三葉にもとづくミツナ、ヤマミツナの名で呼び春の山菜とするが、こんなにうまいものが山にあるかと思うほどうまい。
葉の中央に黒実の熟するのは6月。
ミツナノボポ、サワイチゴ、クロンボ、パンパンイチゴ、パンパングリとさまざまに呼んでいる。
野兎や小鳥に食べられない前にと、子どもたちはすぐに口にほうりこむ。
甘ずっぱい。
口の中は紫色になる。

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