トキソウ



幻の花
 滅亡の道ゆく
ラン科
トキソウ属
花期 6〜7月

空を翔けるトキの群れをみてから長い年月が立つ。
昭和52年9月、小佐渡の杉池から赤玉へ下る山あいの空を5羽のトキの群れが翔けた。
トキの群れをみたのは、最初で最後であった。
全鳥5羽捕獲作戦(昭和56年)が行われトキはもう空を翔けなくなった。
トキソウの群生に出会ったのは昭和52年、海抜220bこのミズナラ林に囲まれた5×100bの小さな湿原は6月の光がまばゆい。
「ひた探す朱鷺草群れて花咲けりすげ湿原光芒のなか」。
花はトキ色というより白っぽい。
シロバナトキソウであったが、花の群れは鳥の群れ、翼を広げ空翔ける白いトキの群れにみえた。
トキソウは200株はあった。
翌年は20株くらいに減った。
「トキソウ自生の湿原」として県の特定(重要)植物群落に指定されたが、10年後、この湿原をくまなく探してもトキソウは1株もみつからなかった。

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