犬神長者
(小木町犬神平)
犬神平の後方、丘陵つづきに長者が平という石器時代の遺跡がある。
むかし、ここに犬神長者といって佐渡の島を全部自分のものとしているほどの長者がいた。そして真野湾はその一枚の田地であり、小木港は苗代田であった。その田植えはいつも一日のうちに終わることになっていた。ところが、ある年のこと、日が暮れかかっても、田植えは終わらなかった。長者はたいへん腹を立てて鶴が峯に登って軍扇で、今や沈もうとする太陽を招きとめた。そして、ようやく一日のうちに植え終えた。
しかし、翌朝見ると、真野湾の田地は、一夜で海となりそれからは、長者はすっかり勢力が衰え、ついに敵に攻められ船に乗ってにげることになった。その時乗りおくれたお茶坊主は坊主岩となり、犬は犬神岩となって、今もこの海岸に残っている。そして、この長者の屋敷跡が、長者が平とよばれている。
戻る